久しぶりの☆
食いしん坊のしあわせの満月に
明け方に小雨が降って、
昼間はどんより曇り空で、
けれど、夜には美しい満月が現れたそんな秋の日曜日、わたしは久しぶりにちょっと遠い散歩に出掛けました。
いとしの姪っこから届いたバレエの発表会の招待状に誘われて、出発~♪
せっかくの機会だから、ランチも予約☆
久しぶりに訪れたその街で、
久しぶりに予約をしたのは、懐かしの名店 M。
食通の間でも多分かなり名が知れていると思わしきそのフレンチレストランとわたしとの出会いは、お店が☆座8丁目にあった頃にさかのぼります。
大人ぶってはいましたが、
当時、まだまだ小娘感が抜けないわたし達が、
ちょっぴり背伸びをして裏道を散策していて見つけたレストラン。
店先には☆座のお店らしいオシャレな案内看板があったように記憶しています。
見かけによらず旺盛な胃力を持つわたしと、
ジビエ好きなこれまた健啖家の友人は迷わず入店を決意。
夜は少々冷え込むけれど、コートをはおるには少し早い秋の黄昏時でした。
重い木製の扉をおずおずと開けると、
目の前に広がったのは重厚感のあるアンティークな内装。
壁は木目の茶色と、たしか赤(だったような?)。
道端のマッチ売りの少女が思いもかけず中に迷い込んでしまったような妙な場違い感と、なんとも温かみのある安心感が入り混じった瞬間でした。
ホールでは執事風の落ち着いた風情の年配男性ときびきびと対応する年齢不詳の女性スタッフが印象的で、
傍目には違和感が拭えなかったであろうわたし達も心おきなく料理を楽しむことができました。
おいしかったんです。
その味は、まるで未知との遭遇。
眠っていた脳を揺さぶり起こすような味覚に恍惚としながら、わたしは最初のひと匙ですっかり目の前の料理の虜になっていました。
一皿ごとに舌の上で繰り広げられるアミューズメントに感嘆の声を上げるわたし達。二人をさらに喜ばせてくれたのは、、、
終盤にゴロゴロと運ばれてきたデザートワゴン。
「お好きなものをどうぞ。」
と言われて、「どれでもいいの?」 「いくつでもいいの?」 と矢継ぎ早に質問をした二人は、きっと目をキラキラと輝かせていたに違いありません。
その後お店は移転して、ずいぶん久しぶりに入店した先日。
変わらない味に懐かしい記憶を呼び起こされながら、わたしはひとつの発見をしました。
初めて訪れたあの日、
あの満足感が感動に変わったのは、多分、シェフの笑顔を見た瞬間のこと。
食事を終えて、
満腹感に満たされた胃袋を抱えて扉を出ようとしたその時、厨房から現れたにこやかなシェフの姿にわたしは驚かされました。
なぜって、
あの☆座で、
如何にも青二才風情の女子ふたりを、
大の大人があんなにもやさしい笑顔で見送ってくれるなんて、思いもしなかったから。
帰る道すがら、すっかり上機嫌になったわたし達は小寒い夜空の下、
「おいしかったね、おいしかったね♪」
と何度も何度も言い合いながら歩いていました。
その夜は、
味に向き合うひとりの客として、一瞬でもシェフときちんと向き合えたような気がして、
財布を持つ大人として認めてもらえたような気もして、食いしん坊の大人の階段を一段とばして登ったような誇らしさを感じた夕べでした。
そして、
この秋、I シェフは最初の日と同じようにわたしを見送ってくれました。
あの頃よりは随分大人になってるんじゃないかしら、と秘かに古巣に戻るような心持ちで店の扉をくぐったこの日。
まさか、有名シェフにそんなことをして頂けるとは思ってもいなかったわたしは、とっさのことに機知に富んだ言葉も浮かばず、軽妙な文句も出ず、
ただ、「ご馳走さまでした。」 と笑顔を返すのが精一杯でした。
姪の発表会に向かう道中、
「もうちょっと気の利いた事を言えたらよかったのに。」とあれこれ考えましたが、、、
素直に感動できた自分のこころに、まずは乾杯
所変わって、発表会ホールにて
美しい舞姫達の中で、
習い始めてまだ間もない姪の少したどたどしく踊る姿に、また感動☆
あぁ、もう!うちの子が一番かわいいわ♪
と、すっかり伯母バカぶりを発揮して帰途についたとき、
空には、まん丸の月が輝いていました 。
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