この頃、眠れてますか?~ 春
現代型不眠の中医学的考察!?
いつも遅くまで働いているお父さん、
毎日、家事に育児に奮闘しているお母さん、
ストレス過多な若者に、
リタイア世代の人生の先輩方まで、皆さん、ちゃんと眠れてますか?
厳しい冬の寒さを越えてようやく春を迎えるという頃、なぜだか、急に不眠になってしまう人がいます。
春と不眠。
実はこのふたつには、切っても切り離せない深い関係があります。
大地が冬の眠りから目を覚ます頃、
自然界は新しい息吹に満ちあふれます。のっぺらぼうの枝は桃色の愛らしい花をつけ、新芽があちこちからのぞき出て、土の中の虫たちも動き出しますね。
こうした大地のエネルギーは、人体も無縁ではありません。
冬の間に縮こまっていた体は、あたたかな陽気を感じるにつれて活発に動きたくなってきます。
気持ちもなんとなくウキウキしてくるでしょう?
そう、
衣服のヒモをゆるめて、
どこかをのびのびと散歩したい気分になってきたら、あなたの体は春のエネルギーを上手に利用しているお知らせです。
もちろん、上手に利用できない体もあります。
日頃から我慢することが多い人や、生理前に胸の張りが気になる人などは春のエネルギーが体の中で渋滞しやすくなって、
逆に不快感の方が強く感じられることもあります。
イライラする、怒りっぽい、ため息が多い、お腹が張る、食欲がない、咽がつかえっぽい、生理前に胸が張るまたは痛い、わき腹が張ってときに針で刺すように痛むなど。
【肝気鬱結】
こうなると、春のウキウキどころか憂鬱な気分になってしまいますね。
もともと貧血気味の人や体が乾燥しがちな人、
冬の間に夜の睡眠時間を削っていた人などは、
めまい、耳鳴り、頭や目が張ったように痛む、顔が赤い、目が充血している、怒りっぽい、胸がドキドキする、忘れっぽい、足腰がだるい、頭がぼーっとする、足や腰がふわふわ浮いたような感じ、高血圧など
【肝陽上亢】、【肝腎陰虚】
そうして、
不眠
が現れます。
どうして、そんな風になるの?
そうね、
それは草花と同じことかもしれません。
あなたの体が庭先に植えられたチューリップだったらどうでしょう?
春になって、元気いっぱいに伸びていきたいときに水をたっぷりもらえなかったら、、、
あなた(チューリップ)は、すくすく育つことができません。
しかも、人体の場合はさらに複雑。
体を潤す力が不足すると、春のエネルギーを充満させたい体には熱がこもり始めます。
熱は次第に上へのぼり、頭に到達したときに、
頭痛、めまい、不眠が発生する、
という具合です。
どうしたらいいの?
眠りたいのに、眠れない。
それはとても辛いことですね。
東洋医学では、
体質によって、いくつかのアプローチ方法が用意されています。
眠れないといっても、人それぞれ。年齢が違えば性別も違って、生活習慣や家庭環境、仕事の内容、ストレスの大きさも違います。
暑がりなのか、寒がりなのか、
血液は十分に足りているのか、
食欲の状態や便通に異変はないか、
そうした体からのお知らせを読み解いて、個々の“眠れるカラダ作り”を応援していきます。
このとき、舌べらの状態も注意深く観察します。
そして、カラダが水の足りないチューリップ状態になっていたら、
あなたの安らかな眠りの邪魔をする “頭にふわふわと昇ってきたもの” を、すっと降ろしてあげましょう。
何をつかうの?
中医学では、
春先にふわふわ上がってきたものを降ろすために、よく琥珀や珍珠母を使います。
琥珀(コハク)は、
アメ色の石の中に昆虫が入っていたりする、あのコハク。
珍珠母(チンジュモ)は、
文字通り、真珠のお母さん。真珠を産み育てる貝殻の内側のキラキラした真珠層のことです。どちらも 宝石生薬 とも呼ばれ、特に真珠は美容目的で美肌作りに役立てられることも多いんですよ。
その他、竜骨、牡蠣なんてのも登場します。
竜骨(リュウコツ)は大型哺乳動物の化石、牡蠣(ボレイ)は冬に食べ頃のカキの貝殻のことです。
琥珀(こはく)
【基 原】 琥珀 Amber は古代のカエデやマツなどの樹脂が長期間地層中に埋没し化石化したもの。
【性味/帰経】 甘、平 / 心・肝・肺・膀胱
【効能と応用】 ① 鎮驚安神 心が落ち着かない状態の動悸・不眠・不安感に、または癇癪や驚き・恐れなどによる小児の痙攣に用いる。 ② 行血散瘀 血瘀気滞による無月経・腹腔内腫瘤などに。 ③ 利水通淋 膀胱湿熱による排尿通・排尿困難・血尿・尿閉に。
珍珠母(ちんじゅも)
【基 原】 海水産あるいは淡水産の真珠の母貝の真珠層。
【性味/帰経】 鹹、涼 / 心・肝
【効能と応用】 ① 平肝潜陽 ② 明目安神 … 肝陽上亢のめまい・頭痛・耳鳴り・痙攣・動悸・不眠・眼疾に用いる。
参考文献:中医臨床のための中薬学(医歯薬出版株式会社)
これらの宝石生薬たちは、
とりわけ電子機器を多用する現代人のストレス過多による不眠や、不妊女性のFSH高値の状態に良好な結果をもたらしているとの報告もされています。
近頃ではこの 宝石生薬 たちを含む製剤も開発されましたので、春の不眠に悩む人や眠りの浅い不妊症の女性達に心強い味方となるでしょう <珉好 ミンハオ>
現代人の不眠(現代型不眠)って、なあに?
先頃のニュース番組の中で、
最近では6人に1人が眠りに不安を抱えているとの報道がありました。
厚生労働省の調査報告によると、
睡眠で十分に休養が取れていないと感じているのは男女ともに30~40代の働く世代。この世代に広がる不眠の中には「現代型不眠」と呼ばれるものもあります。
「現代型不眠」の一例としては、
テクノストレスの一種であるVDT症候群があげられます。
VDT症候群 : 長時間パソコンやスマートフォンの画面を見続けた結果、心身に異常をきたすもの。
このとき、
体の中では、先述した春に起こりやすい不眠~「水不足のチューリップ」タイプの現象が起こっていると考えられます。
【肝陽上亢】
この「水不足のチューリップ」タイプの不眠は、他にも
お産の後の授乳中のママ達の不眠 や 育児ノイローゼ でも、ときに顕著に見受けられます。
何日も眠れなくて、辛い。
そんなときは、病院で睡眠薬を処方してもらうのもひとつの選択肢です。
けれど、
眠れない原因を掘り下げて考えていったとき、
その原因を改善する手立てを講じなければ、不眠と睡眠薬の服用が繰り返されて心身が蝕まれていってしまうという可能性も否めません。
あなたのカラダは、「水不足のチューリップ」になっていませんか?
不眠に陥りやすい「水不足のチューリップ」さんには、いくつかのタイプがあり、それぞれのタイプに応じて漢方薬も用意され、薬膳的な食養生の方法も異なります。
大切なのは、人それぞれに合った漢方薬と養生法を選ぶこと。
不眠の体質分類につきましては、また後日、気が向きましたら書き足しましょうね。
東洋医学には、
そんなあなたのカラダを、やさしく潤す知恵があります
不眠に悩む皆さまに、そんな知恵とのご縁が訪れますように
赤堀薬局では、
ご相談のお客さまに最適な漢方薬をお選びすることを信条としております。
お電話のみのご相談やインターネットからお求めのお客様に際しては、大変申し訳ございませんがお断りをさせていただいておりますことをご了承下さいますと幸いです。
漢方薬局 藤枝 焼津 島田 金谷 御前崎 牧之原 静岡
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