« 土くれのこえ | トップページ | ご相談のお休み日 »

2011年4月15日 (金)

レベル7

よくわからないから、調べてみました

 

12日、経済産業省、原子力安全・保安院が福島第一原発事故の国際的な基準に基づく事故の評価(※1)を、レベル5から最悪のレベル7に引き上げたことを受け・・・

※1 「国際原子力事象評価尺度(INES)」 : チェルノブイリ事故を受け、原発事故の深刻さを一般に示すために1989年に国際原子力機関(IAEA)によって策定。  レベル0~レベル7の8段階がある。

13日、水曜日、朝。

出勤前のラジオなひと時を送るわたしの耳に入ってきたのは、

「テラとかケイ(京)とか、いきなりそんな単位で説明されてもわからないわよねぇ。 チェルノブイリの事故と一桁違うって言われても、どう違うのかわからないわよねぇ。」

という、パーソナリティの言葉でした。

確かに!と、一瞬納得してしまいそうになりましたが、

この時、わたしの理系脳が反応しました。

京(10の16乗)レベルの一桁は著しく異なります!

 

で、調べてみました。

この数字について、世界はどう解釈しているのか。

 

【国際原子力機関(IAEA)】 天野之弥事務局長は、福島第一原発事故を「大きな挑戦」と受け止めるとし、「原子力の安全性に関する世界の懸念を深刻にとらえなければならない」とも強調した。

原発推進と安全確保の両立を図る IAEA のスタンスから、

天野氏は、国際的なエネルギー需要の拡大や気候変化、不安定な化石燃料価格への対策として原子力の有用性と、国際的な安全基準の順守や透明性の確保を訴えていましたが、

うーーーん。

天野氏の穏やかな口調にのせられて、わかったような気になってしまう自分が怖いです

 

【同じく IAEA 】 デニス・フローリー事務次長は、日本の「レベル7」への引き上げには理解を示しつつ、「福島第一原発とチェルノブイリ事故はまったく違う」と何度も力説。

「チェルノブイリ原発では、運転中の原子炉が大爆発して、数日にわたって大規模な火災が続いた」と説明し、「チェルノブイリ原発事故は上層大気に放射性物質を放出し、世界中に広げるほどの威力があった」と語った。

一方、福島原発では地震時に原子炉が自動的に稼動停止し、圧力容器は爆発していないと指摘。

また、人と環境を守るための当局の行動を阻害していないため、事故の一ヶ月後に評価レベルが引き上げられたことは問題ではないとし、日本の危機対応を指示する姿勢を示した。

なるほど。 思い出しました。 チェルノブイリの時は、旧ソビエトが事故をひた隠しにしてシラを切り通そうとしてたわよね。

衛星写真で全世界にバレてたのに。

それを考えると、日本って可愛いくらいに情報提供しているような気もしてきたわ。

また、フローリー氏は次のようにも述べて日本側の分析を支持しました。

「福島の事故による放射性物質の放出量はチェルノブイリ事故の約10%(14分の1)にとどまり、大きく異なる」

・・・ 安心できるような、できないような

 

【世界保健機構(WHO)】 グレゴリー・ハートル報道官は「人体への影響に対する評価は今日と昨日(レベル引き上げ前後)で変わってはいない」と説明し、

「現時点で、人体に対する影響リスクは30kmの非難区域圏外ではほとんどない」との見方を示した。

さらに「日本当局は、3月11日の東日本大震災と津波発生直後と比べて、かなり多くの情報をもっている」と指摘。

つまり、「今のところ健康被害はゼロだから、いいんじゃん」ということでしょうか。

 

【ロシア、原子力公社ロスアトム】 キリエンコ総裁は13日、訪問先の中国で記者団に対し、「福島第一原発の状況は思ったほどには悪化しておらず、我々の評価ではレベル6にも達しない」と述べ、日本政府の判断を疑問視する考えを示した。

さらに日本が評価を切り上げるに及んだ背景には「原子力とは別の財政上の問題があるのではないか」と述べ、事故に伴う巨額の保険金などを免れようとする意図があるのでは、との見解を述べたとのこと。 

そんな見方もあるんですね。

話はいろいろな人に聞いてみるものですね。

 

【中国、環境保護省】 当局者はレベル7への引き上げを受け、放射線量の放出量をチェルノブイリ事故と比較した上で

「中国への影響は100分の1」との見解を示した。

同省の見解によると、チェルノブイリ事故発生から間もない1986年5月8日には北京で 290.00ミリベクレル(1平方メートル当たり)の放射性ヨウ素131を検出。 福島第一原発の事故後では、3月30日から現在までの平均が 1.70ミリベクレル、最も濃度が高かった4月6日でも 3.55ミリベクレルに過ぎないと説明。

福島原発事故の世界に対する悪さ具合は、チェルノブイリの100分の1と解釈していいのね。

この数値をお隣の国、韓国の方々に伝えたら安心してくれるかしら。 「放射性物質の雨が降るから臨時休校しましょう」 なんて、今のところは大丈夫ですよって

 

【アメリカ、原子力規制委員会】 ヤツコ委員長は、レベル7への引き上げについて、「驚きはない。深刻な事故であり、関係者は適切に対応していると思う」と述べて日本政府の判断を支持。

また、福島第一原発の状況について、「変化はあまりないが、安定した状態とは言えない」と述べた上で、「余震の影響で外部電源が遮断され、水の注入作業が一時止まったりしている」と、依然トラブルが続いていることに懸念を示し、事態の推移を引き続き注視していく考えを示した。

 

【フランス、放射線防護原子力安全研究所(IRSN)】 パトリック・グルムロン人体防護局長はレベル7は日本の「過剰評価」と指摘し、「福島の状況は深刻だが、被害の大きさはチェルノブイリ事故と比べてはるかに抑えられている」と評価した。

 

以上、主だった見解をリサーチしてみて、

なんだかとても不毛な作業をしている自分に気付いてしまいました

それぞれの国、機関は各々が属する団体の立場からコメントしていて、結局は国益を追求するために YES or NO を述べているだけのような気もしてきたの。

なんだか、日本人ってすごく素直で翻弄されやすい民族なのかも、なんて思えてしまいます

かのアドルフ・ヒトラーは言いました。 「集団は女性的である。」と。

噂に煽動されやすく、思考停止しやすいということでしょうか・・・

だからリーダーは集団を強引に先導すべきだ、とは彼の主張です。

日本に独裁者は必要ないと思うけど、諸外国に NO と言える強いリーダーシップはやっぱり必要かも。

 

最後に、わたしをめちゃめちゃ不毛な気分にさせた、ちょっとおもしろい見解をご紹介しましょう。

【京都大学大学院】 佐伯啓思教授(社会経済学・社会思想史)

世界各国は、日本復興をめぐる政治的綱引きをしています。 

原発大国1位の米国と2位のフランスが、福島第一原発への支援を競っているのは、自国の原発政策への影響を防ぐと同時に、今後の原発市場をめぐる駆け引きでもあるわけです。

そんな両大国の陰には武器商人ならぬ、世界の原発商人の思惑も見え隠れ・・・

福島第一原発事故の初動体制に批判が集まる中、アメリカとフランスの申し出が日本側になかなか通らなかった背景には、そうした米仏の動きを危惧する意味合いもあったのでしょうか?

米国が狙っているのは、日本の復興に向けて生じる復興特需です。

ジェームズ・アワー元米国防総省日本部長が「復興のためにTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)を批准し、農業改革せよ」と述べたように、震災や原発事故で打撃を受けた日本の農産物市場に、TPPを契機として食い込んでこようとするのは確実です。

そうすると、国際競争力の弱い日本の農業は大打撃?

ただでさえ日本は食料自給率が低い上に、被災して大変な農家の方々が農地を放棄してしまうようなことになったら、この国の将来はどうなってしまうんでしょう

米投資情報誌「バロンズ」は、3月20日付けで「日本は買い」と題する記事を掲載。 (中略) これは絶好の投資機会と書き、米国はこの震災すら投資の一環と捉えている。(NEWSポストセブン)

投資の世界はまったく非情ね。 まあ、それは日本の投資家にも共通することかもしれませんが

そうして復興を米国に委ねてしまえば、今度こそ日本はアメリカ型グローバル金融資本に呑み込まれてしまう。

日本は今こそ、アメリカ型の市場競争やグローバリズムから方向転換し、新しい経済モデルを考え出さなくてはなりません。 

社会的なインフラの再構築、中期的な被災地の復興から長期的な国土計画まで、強力な政府が主導する壮大なプランを、日本は打ち立てなければならないのです。 (後略)

その意見には大賛成よーーー

戦後の日本は GHQ の間接統治のもと奇跡的な成長を遂げた。 しかし、今回またそれを繰り返せば、日本は今度こそ米国の経済的属国に堕してしまうかもしれない。(NEWSポストセブン)

 

そんな話を聞いていたら、気分はすっかりブルー

ヒラリー・クリントン米国務長官の今月17日に予定された来日が、そうした戦略的経済政策の一環だったとしても、不思議はありませんね。

(この方、「後光が射して見えるほど神々しい」と表現されることもあるそうですよ。)

諸外国に対しては、

白洲次郎のような、鮮やかに NO と言える切れ者を

国内にあっては、

坂本竜馬のように、賛成派も反対派も巻き込んで目的に邁進する逸材を

 

今こそわたしは、熱望いたします

 

参考資料 :

ロイター

毎日新聞 毎日JP

読売新聞 YOMIURI ONLINE

NHKニュース NHKオンライン

産経新聞

毎日新聞

NEWS ポストセブン

|

« 土くれのこえ | トップページ | ご相談のお休み日 »

NEWSなニュース」カテゴリの記事