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2010年11月30日 (火)

お屠蘇は飲みますか?

お屠蘇(とそ)は漢方薬

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屠蘇散(とそさん)。

古くは屠蘇延命散と呼ばれ、日本では平安時代(9世紀前半)嵯峨天皇の時代に宮中の行事に取り入れられ、やがてわたし達の口に入るようになったという代物ですが、

その起源は中国・三国志の時代にさかのぼります。

 

屠蘇散は、後漢末期の伝説的名医・華侘(かだ、-208年)による処方です。

華侘は二千年の昔に麻沸散(麻酔薬)を使って腹部切開手術を成功させた医者としても有名ですが、

華佗の名は知らなくても、

三国志演義で頭痛もちの曹操の頭を手術しようとして後に曹操に処刑された医者といえば、記憶に残る諸氏もおありでしょう。

 

「屠蘇」 とは 「蘇・ソ(悪い鬼の名前)」 を 「屠・ホフる(殺す・葬る)」 。 つまり、悪さをする鬼をやっつけようぜ!という、なにやら正義の味方チックな意味合いの言葉なんですね。

そこから転じて“心身を蘇らせる”ともされ、延命長寿・無病息災を祈って屠蘇散を東南方位の井戸に一晩吊るすなど、少々迷信じみた印象も受けますが・・・

 

驚くなかれ、

屠蘇散には立派な薬効があるのです。

その処方は時代と共に変遷し、書物によっても若干の差異が認められますが、現在わたし達に馴染みの深い屠蘇散は

オケラの根(白朮)、サンショウの実(蜀椒)、ボウフウの根(防風)、キキョウの根(桔梗)、ニッケイの樹皮(肉桂)、ミカンの皮(陳皮)、チョウジノキの蕾(丁子)

などの生薬で構成されています。

寒い冬に体を温め、胃腸の働きを高めることでカラダを内側から強化し、北風から身を守るために体表を防御する生薬も加えられています。

この時期、胃腸の弱めな日本人にはありがたい健胃薬ですし、初期の風邪ならこれで退散してしまうこともありますよ。

お屠蘇は単なる祝い酒ではなかったんですね

 

Photo_4  

我が家では、大晦日の夜に 清酒150ccみりん150cc を合わせた銚子の中に屠蘇散(ティーパック)をひとつ漬け込みます。

そのまま一晩、

翌朝にはかぐわしいお屠蘇の出来上がり。

元旦の朝に家族が集まり、年の若い者から順に三段重ねの二番目の盃でいただきます。

 

子供の頃はこれが家族の一大イベントで、おじいちゃんおばあちゃんを含め総勢8名が注目する中、いち早く盃を手にする喜びでワクワクしたものでした。

もみじのような小さな手が、

真っ赤な朱塗りの盃台からこれまた真っ赤な盃をとった途端に、

緊張のあまり、途中で笑えてきて・・・

噴き出してしまうこともしばしば

 

この文化、続けていきたいですね。

 

去年の大晦日には山口の美酒・獺祭(だっさい)を手に入れて

ちょっと贅沢に、お屠蘇を作りましたが、

今年はどうしようかな

 

屠蘇散は赤堀薬局店頭で販売しております。

去年は日本酒の味を生かそうと、獺祭200cc、みりん50cc(4:1) にしてみました。大人向きなよいお味でした

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