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2010年1月

2010年1月30日 (土)

ただいま顔面アトピー、悪化中?

いえ、回復中です

 

昨年の11月に顔面アトピーが再発して以来、

食事療法と市販の漢方薬でなんとか乗り切ろうとしていたのですが・・・

ついに悪化。

一月に入ってから、痒くて眠れない日が続きました。

掻いちゃだめ、それはわかってる。

なのに、まどろんだ途端に無意識に 「がりっ」 と掻いてるんですね。

一瞬、爽快な気分になるんですが、

次の瞬間には猛烈な後悔の念に苛まれます。 ひりひり痛くなるし、掻いた皮膚はぼろぼろになるし、結局痒さは倍増するし。

 

再発の原因はわかっています。

新しい化粧品を使ったことと、それまで続けていた煎じ薬を止めたこと。 普段はないストレスを感じたことも一因でしょう。 患部が顔面なだけにステロイド剤(副腎皮質ホルモン)も使いたくありませんでした。

悪化の原因もわかっています。

年末から年始にかけて忙しくて、本来煎じ薬を飲めばよかったところを市販の漢方薬で済ませていたし、お酒を飲んでカマボコを食べたし、エビも食べて、夜更かしもしました。

 

原因がわかっていると、皮膚症状が悪化しても不思議と心は落ち着いていられます。

不摂生を改心して養生すれば、きっと回復すると信じられるからですね。

そんな訳で、3週間程前から煎じ薬を再開しました。

食事にも気をつけました。

経過は・・・

たぶん、良好です。 患部に発赤や若干の痒みは残っていますが、ここ数日は、日中は人目をごまかせるくらいに回復してきました

いい調子です。

このまま煎じ薬を続けていたら、来月半ばくらいには完治するかもしれません。

 

今回は煎じ薬と養生の勝利です。

市販の漢方薬と煎じ薬とでは、その効果はインスタント・コーヒーと自家焙煎した珈琲くらいの違いがあります。

もちろん味や香りの違いもありますが、揮発成分の含有量に大きな差があるように思います。 エキス剤(エキス顆粒、エキス錠など)は製造過程において、この揮発成分を多量に失っている可能性があるんですね。

自分でコトコトと火にかけて、

キッチンで スロー・フード ならぬ スロー・漢方 部屋に立ちこめる香りも、薬になります。

時間に余裕がなくてはできませんが、頼りになります

 

(でもね、今晩は不摂生をします。)

(お酒を飲んで・・・、悪化しませんように ! 今日は開気丸を飲んで出掛けようかな。)

(バックの中には 晶三仙 と 五行草茶 。)

アトピー性皮膚炎で避けた方がよい食材については、赤堀薬局店頭にてご説明いたします。 遠慮なくお尋ねください。

 

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2010年1月25日 (月)

産後の関節痛

どうして痛いの? ~ それはリウマチ? それとも関節炎??

 

出産という人生の一大イベントを乗り越えた新ママは、希望に満ち溢れて超ハッピー!

といきたいところですが、現実はそんなに甘くはありません。

赤ちゃんは大人の都合を考えずに夜泣きをするし、お母さんは夜中も頻繁に授乳をしなくてはなりません。

毎日十分な睡眠がとれない上、初めての子育てなら予測不能な出来事にあって不安になったり困ってしまったりで大変です。

それでもかわいい我が子のためと、お母さんはがんばりますが・・・

 

そんな産後のある日、関節がこわばる、痛い

 

その痛みは、出産後2週間目、4ヶ月目、あるいは産後一年近く経ってからと、発症の時期はさまざまです。 最初は痛みではなく、関節のぎこちなさや朝の関節のこわばりで感じることもあります。

第一子の時はなかったのに、第二子出産後に発症したという例もあります。

発症した患者さんの話によれば、婦人科では問題とされることが少なく、整形外科の受診を勧められることが多いようです。

整形外科では、

まずは慢性関節リウマチの血液検査をしたり、多発性関節炎を疑いますが、多くの場合は原因不明の痛みと説明され、ときには 「精神的ストレスによる痛み」 とか 「ホルモンバランスの乱れによる痛み」 または 「妊娠中毒症・浮腫のせい」 と説明されるケースもあるようです。

 

中医学では、

産後の関節痛の原因は明らかです。

産後の母体は 血 や 気 がとても不足した状態にあります。

(詳しくは 『辛いのはお好き?』 をご覧下さい。)

関節といえども血液によって栄養されていることは、現代西洋医学も認める事実です。 関節を栄養するはずの血液が足りなくなれば、関節は

「もっと血液をちょうだい。」

とメッセージを出します。 そこに痛みが発生します。

また、気血が関節を十分に滋養できなければ、関節はカクカクとぎこちなくなったりこわばったりしてスムーズな動きが障害されます。

子育てで必至なお母さんには「痛いくらいでないと気付いてもらえないよね」というのが関節くんの本音なのかもしれません。

 

気血の不足した関節は、ナイーブです。

湿気や寒気の影響を受けやすく、冷たい風に当たった日などに手足の関節や腰などに痛みを発症することもあります。

腕や腰や全身を動かしすぎた翌日にも、関節は敏感に反応します。

まずは 妊娠・出産・授乳 を通して失った気血を十分に補うこと

そして冷たい風に当たらない、 体を冷す冷たい飲み物や生物(生魚など)を食べない、 冷たい雨が降る日はなるべく外出しない

などを心がけて、体を冷えや湿気から守りましょう

 

出産後の関節痛は、母体からのお知らせのひとつです。

中医学がお手伝いいたします。

 

補足

産後の関節痛の中には、慢性関節リウマチ・多発性関節炎・ストレス等が原因していることがあるのも事実です。 慢性関節リウマチならきちんとした治療が必要です。  関節の痛みが日ごとにひどくなるようなら、まずは医師の診察を受けましょう。

産後の体を整える漢方薬については赤堀薬局店頭にてご説明いたします。

赤堀薬局では丁寧なカウンセリングの後に、ひとりひとりのお体に合った漢方薬をお選びします。 

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2010年1月15日 (金)

辛いのはお好き?

産後のご法度 ~ 産婦が“激辛マーボー”を食べると・・・

                                     中医学的考察

 

昨夕、某テレビ番組で江角マキコさんを見かけました。

42歳にして昨年11月30日に第二子を出産されて間もなくの出演でした。

ブレない芯の強さに母性のしなやかさが備わり、さらに輝きを増してますねーと思いながら画面を見ていたのですが・・・

 

メニューを選ぶ場面で、なんと彼女は激辛マーボー豆腐を指定したのです

だめーーー!

それはだめーーっ!

テレビの前で叫んでみても、収録画面の彼女にわたしの声が届くはずもありません。江角さんは一瞬のためらいの後に、その激辛を口いっぱいに含み・・・

悶 絶

テレビ的には絵になる映像だったかもしれませんが、出産後1ヶ月あまりのカラダに激辛はいけません。

もちろん、妊産婦は病人ではありませんが、養生が大切なのは病人と変わりありません。

 

妊娠中、母体は自らの血液を胎児に分け与えます。

出産時には渾身の力を込めて、大量の出血と共に胎児をこの世に送り出し、

産後には赤ちゃんにたっぷりと母乳を飲ませます。

母乳はお母さんの血液の化身です。乳(ちち)は血血(ち)なんですね。

新しい命は、こうして二年余りの時間をひたすら母体の献身により育まれていくのです。 母の愛とはなんと尊いものでしょう。

 

この間、母体の体の中では何が起きているのでしょうか。

与える分は作り出さなくてはなりません。

血液(母乳)を作る、自分の分と合わせて二人分。

作るには豊富な血液材料と製造現場である臓腑の充実が必要です。

若い女性なら、頭で考えずともカラダが健全に反応しますが、高齢出産年齢ともなればそういう訳にもいきません。

製造が追いつかなければ、母体は自らのカラダを削って乳を作り出します。

授乳中に痩せる

とくにダイエットしたわけでもないのに産後に痩せてきたら、それは体からのSOSのお知らせです。

20歳代なら回復も早いので危惧する必要はありませんが、アラフォー世代の授乳中の痩せは心配です。ダイエットに及んでは絶対におすすめできません。

 

授乳中の母体は常に血液不足、潤い不足に陥る危険をはらんでいます。

中医学では、この状態を陰血不足(肝陰不足、肝血虚)と呼びます。

目が乾く、目がしばしばする、はっきり見えない、頭がぼーっとする、めまい、口が渇く、肌が乾燥する、眠りが浅い、時に動悸、

ひどくなると、手足がしびれる、寝汗がひどい、喘息がでる、アトピー性皮膚炎が悪化する、突然悲しくなる、

突然怒り出す

突然泣き出すなど

産後の育児ノイローゼなども、この延長線上に生じている場合が多く見られます。

辛味はこの状態に拍車をかけます。

極端な辛味は、産後のカラダを一層消耗させてしまう味なんですね。

 

人生の一大イベントを乗り越えた産婦さんには、ご褒美に好きなものをたくさん召し上がっていただきたいのですが、

強い辛味はもう少しの間、おあずけしましょう。

 

補足

辛味は汗を出したり、体内のエネルギーを循環させたり、時として皮膚表面を潤す力も持ち合わせ、風邪薬を始めとする数々の漢方薬を構成する薬味です。

辛味は悪者ではありません。大切なのは使い方のさじ加減です。

その後、江角さんがトマトや豆乳やレンコンやメロンなど体を潤す食材を食べてくれているとよいのですが・・・。

体を潤す食材、産婦によくない食材については、赤堀薬局店頭にてご説明いたします。 産後の体を整える漢方薬もお尋ねください。

 

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2010年1月11日 (月)

生殖医療 「着床遅延」

受精卵が子宮の中を泳いで ~ 休眠中!??

 

受精卵が子宮内で浮遊したまま着床せずに胚盤胞のまま成長を休止。胚はその後も生き続け、やがて着床・出産に至る症例がある。【2009.10.11 日本中医薬研究会女性大会にて、講師:足立病院不妊治療センター所長・中山貴弘先生】

中山貴弘先生の臨床経験の中でも、7日間の着床遅延をみた症例があったそうです。

まさに生命の神秘。

目からウロコか、晴天の霹靂(へきれき)級の驚きでした。

 

研修から戻ってその話題が忘れられず、 「着床遅延」 という現象についていくつか文献を調べてみると、さらに興味深いことがわかりました。

自然界において、着床遅延はさほど珍しい現象ではないようです。

クマ類やイタチに始まりアザラシ、カンガルー、アカシカ、マウスなどなど。

Photo 

着床遅延は、あのかわいらしいパンダ(大熊猫)にも確認されていました。

パンダセンターのお母さんパンダの妊娠期間は最短89日から最長184日と大きな差がありますが、これは着床遅延期間によるものと認識されています。

着床遅延は、実際にどのくらいの期間(日数)?

クマを例にとれば、

クマの交尾期は5月上旬~8月上旬。 12月頃に着床。 その間、実に120日~210日前後。

この半年あまりの期間、受精卵は母胎の子宮内でフワフワと浮遊しながら成長を止めてじっと着床の時を待ちます。

なぜ、着床遅延するの?

厳しい自然界では、懐胎は生命の神秘であると同時に、生命存亡の危機でもあります。

天候の変化などにより飢餓状態に陥るような時に妊娠・出産をすることは、胎児だけでなく母胎の生命すら脅かしかねません。

クマの場合、越冬前の母胎の栄養状態が悪ければ、それまで休眠していた受精卵は着床せずに体外に排出(流産)され、母体はそのまま冬眠に入ります。

着床遅延のメカニズムは?

着床遅延のメカニズムは現在研究中で、その全貌はまだ明らかにされていません。

ですが、わかってきたこともあります。

着床遅延時の胚は、DNA合成を含む一連の代謝が著しく抑制されている。

そして、どうやらこの現象は母胎側からコントロールされているようだということです。

つまり、母胎の栄養状態(子宮環境)が胎児を育てられる状況にあるか否かによって、母胎からある種の生理活性物質が分泌され、その結果、受精卵の休眠・着床遅延が発現しているというのです。(この件については現在研究が進められています。)

 

自然界では、

着床遅延は、母子共に生き延びるためのひとつの手段であり、その選択権は母体が握っているといってもよいでしょう。

もちろん、選択権とは母体の栄養状態(子宮環境)であって、心情ではありません。

母胎が満ちることこそが、受精卵の着床成立に必要なことなのですね。

 

人工授精や体外受精などの不妊治療を受けている女性に向けて・・・

まずは母体の準備を整えて、

タマゴちゃんの居心地がよくなる子宮環境をつくりましょう

タマゴちゃんは、温かな血液に満ちた、フワフワな子宮内膜が大好きです

子宮は赤ちゃんのベッドです。

わたしたちがお手伝いします

 

補足

想像妊娠と呼ばれる現象の中にも、着床遅延の末に流産していたという例があるかもしれませんね。

休眠は、冬眠する動物だけに見られる現象ではありません。クマムシやカブトエビの卵はガラス化することで何十年も休眠を続け、ハスの種なら数千年もの間、生きながら眠り続け発芽の時を待つこともできます。

妊娠準備を整えて 「その時」 を待ちましょう

 

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2010年1月 9日 (土)

慢性疲労症候群、血液中のマーカーを発見!

慢性疲労を客観的に診断できる「血液中のタンパク質」って・・・。

 

5日連続の運動で極度に疲労させたラットの脳(脳下垂体中葉)にタンパク質 α-MSH が異常分泌され、血液中の α-MSH の量も上昇していることが大阪市立大・木山博資教授(解剖学)らにより発見されました。

慢性疲労症候群と診断された患者57人の血中α-MSH値は、健常人のそれと比較して優位に高く、一方、一晩徹夜した人には数値の変動が見られないことから α-MSH は短期間の疲労とは関係がないことも示唆されています。【1月7日 読売新聞より】

 

原因不明の激しい疲労が半年以上続く 「慢性疲労症候群まんせいひろうしょうこうぐん(CFS)」 

これまでその診断基準は自覚症状を中心に判定するもので、血液検査の数値などの客観的な指標(マーカー)はありませんでした。

この研究成果は今後、健康診断などに活用できるのではないかと期待を寄せられています。

 

が・・・、

中医学分野では、

慢性疲労症候群の診察・分類にかけては西洋医学のそれに比較し、更に数歩進んでいるように感じられます。 数千年の時間をかけて、疲労は“未病”としても十分に考察を重ねてきました。

中医学(漢方)は、そもそも血液検査などがない時代に発展してきた医学ですから、血液成分を取り上げて論じる手段は持ち合わせませんが、治療のアプローチ方法はとても豊富です。

そうした中で、如何に患者本人の体に合ったアプローチを見つけ出すかが重要な鍵となります。

まず、慢性疲労を注意深く観察します。

いつから疲労を感じているか、どんなときに特に疲れるか、きっかけはあるのか、一日の中であるいは季節によって疲れ方に変動はあるか、天気によって疲れ方に変動はあるか、活動後に疲れがひどくなるのか、寝ていてもひどいのか、など。

次に、疲労以外の随伴症状を聴取します。

汗をかきやすいか、風邪をひきやすいか、お腹は張るか、不眠はあるか、嗜眠(常に寝ていたい)はあるか、めまいや頭痛はあるか、口は渇くか、寝汗はあるか、吐き気はあるか、食事はおいしいか、下痢や便秘はあるか、小便は近いか遠いか、暑がりか寒がりか、イライラするか、憂うつな気分(絶望感・どん底の気分など)になるか、

女性なら生理は順調か、出血量は多いか少ないか、出血に塊はあるか、生理痛はあるか、生理前に疲れるか、生理後に疲れるか、

男性なら性欲低下、性的能力の衰え、ひげの伸びが遅くなった、筋力の低下などを感じるか。

また、患者の外見に表れる様子もうかがいます。

顔色はどうか(蒼白、赤ら顔、黒っぽいなど)、声色はどうか(小さい、甲高い、声が出ない、口数が多い少ないなど)、体系はどうか(痩せ、肥満、筋肉質など)、動きはどうか(緩慢、機敏、落ち着きがない、焦っているなど)、息は浅いか、などなど。

もちろん舌も観察します。

舌の色、形、大きさ、苔の有無、苔の色や性状などです。

 

こうして得られた情報から、患者の体の中で起こっていることを綿密に推察します。

何が 疲労 の原因で、それがどこにどう影響して、どんな変化が起きているのか。

慢性疲労症候群を引き起こす可能性があるものとして、中医学的には【気虚、気滞、血虚、気血両虚、血瘀、陰虚、痰湿、陽虚など(八網弁証、気血津液弁証)】のケースが上げられます。

その中からひとつ、気虚をとってみても、【心気虚、脾気虚、肺気虚、腎気不固、肺腎気虚、脾肺気虚、心脾両虚 (臓腑弁証、臓腑兼病弁証)】など更に多岐にわたります。 中医学ではその各々において様々な治療法が用意されています。

医師の中にも、そうした中医学(漢方)の治療を積極的に取り入れようとする方もおられますが、保険適応など幾多の壁に悩まされているのも現状です。(保険がきかない場合は薬代は自己負担となります。)

 

検査データは、体から発せられる情報のほんの一部です。

検査の結果に異常がなくても、あなた自身が体に不調を感じれば、それは確かな不調です

あなたのために、

あなたの大事な人のために、

あなたには元気でいる資格があります。

 

一緒に乗り越えましょう

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